PROFILE

Kimun Kamuy (キムンカムイ)
1970年横浜生まれ。横浜育ち。
多摩美術大学デザイン学科卒。
大学卒業後、アパレルメーカー、玩具系デザイン会社のデザイナーを経て、
IT企業でCIデザイン、WEBデザインを担当した。
趣味は、バンド(ドラム)、釣り、バイクツーリング、熱帯魚、ショートスキー、飲み、など基本的に遊び全般が好き。(笑)
バイククラブは現在、横浜をメインに活動しているMC Pithecanthropus Spiritusに所属。
バイク暦はYAMAHA Virago → KAWASAKI Vulcan → HONDA Valkyrie → YAMAHA V-max → HONDA VTX
と現在で五代目になる。全部のバイクの名前が頭文字がVなのでミスターVなんて呼ばれていた頃もあった。(笑)
バイクと出会ってから当然のように銀だの皮だのに出会い、2000年に趣味の範囲で製作を開始した。
その後は独学で、天然石をメインとした完全なハンドメイドアクセサリーを手がけるようになる。
2004年、アクセサリーブランド「Phosphor」(フォスファー)創設。
2007年、同ブランド登録商標。現在、同ブランドのアーティストで、代表も務める。
アーティストネームの「Kimun Kamuy」はバイククラブのメンバーと共に北海道にツーリングに行った時に、幼馴染が名付けてくれたもの。アイヌ語で「山の神様」=ヒグマを表す。
好きなカルチャーエリア(テーマ)は・・・・
サイバーパンク、古代文明、骨、動物、原住民、武士、神話、 ナイフ、アート、デザイン、絵本など。
音楽はR&R、R&B、ファンキー系、JAZZ系統でも洋楽邦楽問わず何でも聴く。
「ネイティブ」を考える。
ギリシャ・アラスカ・アメリカ・アフリカ・インド・オーストラリア・ミクロネシア・・・日本も・・・おそらくいただろうと思われる。ほとんどの国で有ったと思われる。
定義が非常に難しいけど、農耕文明と狩猟文明が交錯してる時代背景であり、明らかに現代のような大量生産ではない。必要な物を必要な分だけ手に入れる。食べ物も着る物も。
かの偉大な芸術家イサムノグチの作品でも伝えてることだがネイティブの文化は非常に似ている。特に有史以前などはかなり似ている。
おそらく人々の願い、想いなどが具現化された形だからだ。その証拠にどこの国の人達も精霊となる動物や植物が壁画や工芸品に描かれている。
自然を神とするのも一緒である。現代と比べたら、精神的には豊かな筈だ。
今から20年前近くにインディアンジュエリーと言う物を初めて知った。ただ、その頃はターコイズを使ったジュエリーぐらいにしか思っていなかった。
時は流れて大学を卒業する頃、色気づいた自分はアクセサリーをよく買っていた。そんなことからアクセサリーに興味を持ち始める。バンドもやっていたせいもあるのだろうが、髑髏・蠍・剃刀・薔薇・サイバーパンク・・・そんなモチーフばかり買っていた記憶がある。
色んな店を回るうちに・・・「うん?なんじゃこりゃ?」
シルバーリングなのだが、絵本の中から出てきたような妖怪のようなのが湖のほとりにいるような絵が掘ってあった。その絵の周りには4つのわからない記号のような模様。
なんとなく気になって買った。店員さんに聞いてみる。すると・・・「これインディアンジュエリーのホピの物ですね。」と言われた。
「へー。インディアンジュエリー。これが。ホピって何?」そんな感じだった。
そして知る。ターコイズ。赤珊瑚。熊の爪。牙。貝殻。銀。黒曜石。
俺の脳裏に素敵なインディアンジュエリーのグラフィックがぴたっと張り付いた。
そしてその時に「ナバホ」と言う言葉を知る。
自分の好きな「ナバホ族」のことを本で読んでみた。なるほど、様々なネイティブアメリカンの部族のこと。文化。歴史。考え方。そして現在の社会問題・・・。やっぱり、目を背けられない事実として戦争があった。
自然崇拝からキリスト教への改宗、反乱、虐殺、投降、居留地への収容・・・一方的な悲惨な迫害だ。結構ショックだった。アメリカはネイティブアメリカンの犠牲の上に成り立った国家だと言っても過言ではないだろう。
今のアメリカの州名とか地名って・・・かなりの確率で地元のネイティブアメリカンが使っていた言葉が語源である。
自給自足の生活。狩猟。農耕。自然への畏敬。そして周りへの感謝。そして素晴らしい文化と考え方が存在していた。
人間が人間として生きるための情熱、想い、祈り、知恵、勇気がそこにある。彼らの文化を知れば知るほど、すごいと思ったのが図や形としてしっかり形に残ってること。
その彼らの伝統的な考え方がそのままインディアンジュエリーやラグなどに反映されている。わが国では悲しいことだが、その文化がしっかりと残っているのだが、若い世代までにしっかりと伝えられていないように感じる。
何故、彼らの作るジュエリーはこんなに人を惹き付けるのだろうか?そんな問いが頭の中を回りだした。どうして?ハンドメイドだから?その理由も確かに有るのだがそれだけではない何かが有るように思った。
ターコイズ、黒曜石、オニキス、貝殻、赤珊瑚、銀、動物の骨、爪、牙などだ。
何故、こんなに惹き付ける?
それは色だった。ネイティブアメリカンが定める古来からの伝統色だった。彼らの文化は「4」を基点に考える文化だ。東西南北・春夏秋冬などである。
その東西南北と一日の時間の流れを色に定めたと言う。
東・夜明け・・・「白」
南・日中・・・・「青」
西・夕方・・・・「赤」(黄色まで含むらしい)
北・夜・・・・・「黒」
この伝統的な4色がそのまま、インディアンジュエリーの色使いに転用されたわけだ。
白・・・貝殻/銀
青・・・ターコイズ
赤・・・赤珊瑚
黒・・・黒曜石・オニキス
ここで考えた。我々日本人の伝統なる色は?自然神崇拝なんだから、日本神話(古事記・日本書紀・万葉集等)に探ってみようと考えた。すると面白い答えが出た。
赤・白・青・黒。同じ4色だったのである。
これは何も日本だけではないらしいが・・・中国ではこれに黄色を加えた5色だそうだ。
ってことは・・・深層心理に刷り込まれている色は日本人もネイティブアメリカンも一緒だということになる。
なるほど!どうりで惹かれる筈だ。と勝手に納得した。笑。先祖代々、血としても流れてる意識ということがわかる。でも、日本人の言う「青」は今の「緑」のことも指すらしい。青竹色・青葉・田んぼが青いなんて言葉が有る所以はここらしい。
日本にもアイヌ文化がある。
素晴らしいネイティブ文化である。けれども、残念なことに、段々と活動の場を無くしていると聞いた。いつだったか、今から20年くらい前だったと思うけど、当時のネイティブアメリカンの酋長とアイヌの酋長が某新聞社のフォーラムでディスカッションをするイベントが新聞に掲載されていた。
どっちがネイティブアメリカンでどっちがアイヌなのか解らないくらい二人の風貌は似ていた。そして、自然への考え方。生き方さえも非常に似ている。
あの有名な木彫りの熊も僕らの子供の頃と違って段々見る機会が少なくなってきた。
数年前、北海道に出かけた際、アイヌ文化を勉強する機会に恵まれた。当たり前だが学校の歴史の授業では通常習わない。
だけれども調べていくと、そこには温かみのある文化があった。北海道の地名もアメリカ同様アイヌ語が発端になってる地名が多い。
そして人種の起源まで探っていくと、「え?」と思った。色んな説があるらしいが、現代では最も有力な説らしい。
「古モンゴロイドには南方系と北方系の2つのタイプが有り、縄文時代前、いまから数万年前にそのうちの南方系のモンゴロイドが北に向かって移動を始め、長い年月の間にそれらが沖縄を含む日本列島に住みつき、全国的規模で縄文文化を担うようになる。やがて弥生~古墳時代になると、北方系のモンゴロイドが大挙して渡来するようになり、これらの影響を強く受けて急進化してきたのが和人(アイヌ以外の人々)、ほとんど影響を受けずに小進化してきたのがアイヌと琉球人であるといわれている。」
なるほど。確かにアイヌの人も沖縄の人も顔や形が似ている。力強い目に独特の頬骨と顎のライン。
ってことは、ネイティブアメリカンもエスキモーも日本人もアイヌ人も同じモンゴロイドの血筋なのだ。当然、大陸である中国、朝鮮もロシアの極東北方系の人も。
広義の意味で考える。
人間には、宗教や文化の違いは確かにある。しかし、人間本来が持っている願いや祈りはそう変わらないと思う。例え、このように時代が進化してメールだのインターネットという時代においても人は出会い、愛し合い、続く者達を育てていく。
ただ、現実はその違いだけで争いが起きる。そこに積み重ねられ、儚くも消えてしまった膨大な数の命を想うと言葉にもならない。
人は一人で生まれて、家族や親族や友人等の間で育ち人間の喜怒哀楽を共にする。そして、朝は日が昇り、夕は日が沈み、雨が降り、風が吹き、雲は流れていく。その中で暮らして老いて、又生まれてきた時と同じ様に一人死んでいく。
今一度。生きるとは何なのか?死ぬとは何なのか?どこから来て、どこへ行くのか?人間とは?自然とは?・・・考えてみたい。
最後にここまで読んでくれたあなたに感謝します。
あなたに実り豊かな人生が有りますように。